朝市のひと
6月のある日、東伊豆町奈良本にあるけやき公園で、恒例の朝市がありました。
ちょうど梅雨の合い間の、カラッと晴れた気持ちの良い日でした。
けやき公園は、ホタル狩りのメッカでもあります。最近は、ホタルブームで、東伊豆町でも観光の目玉として大いに宣伝していて、町全体では7ヶ所も「名所」があるんですよ。
ホタル=豊かな自然、って連想は、ビッグな観光施設をもたない田舎町にとっては、格好のうたい文句になりますからね。ここだけの話、ホタルの幼虫を放流したり、中には成虫を買って来て放したりして、どこでも裏方さんは苦労しているようですよ。でも、けやき公園は、そんなことしてません。それだけホタルさんにとって、居心地の良い場所ってことなんでしょうね。
アレッなんの屋台だろ
地場の野菜や果物、古物古着なんかの屋台のはずれに、なんだか、面白そうな屋台がありました。平台のうえに、発泡スチロールの飛行機と、木製のゴム銃が積み上げられています。
飛行機と鉄砲
発泡スチロールの飛行機は、どれもカラフルなデザインで、雲まで届くくらい飛びそうですし、ゴム銃は、百発百中って顔して自信満々で横たわっています。
さっそく、飛行機を買って飛ばしてみました。すると、期待に反して、手から離れたとたんに失速して、ゴツンと頭から墜落です。つぎにゴム銃。これも、ガンマンみたいに格好つけて、左手をエルボにして銃身を支えて打ってみるんですが、的のペットボトルにちっとも当らない。
そこで、魔法使いのおじさんの登場です。
おじさんは、なにやらぶつぶつ魔法の呪文を唱えて、飛行機の羽をちょいとひねりました。すると不思議!おじさんの手を離れた飛行機は、グングン空高く飛んでいきます。
ゴム鉄砲は、引き金のうえの真鍮のリングの中央と、銃の先端の突起が重なった瞬間、息を止めて静かに引き金を絞るって魔法を教えてくれました。これには、呪文はありません。
「すげ~。魔法使いみたいだ!」こどもたちの、感嘆の声を浴びて、おじさんは、とってもうれしそうです。
魔法使いのおじさんは、魔人に命じて天から降らせたりしないで、何ヶ月もかけて作って来てるんですから。
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